ノンフィクション ~16歳から25歳までに出会った人たち~

出会いは偶然ではなく必然であり、出会った人によって人は変わっていく。それを改めて振り返ってみました

VS 新宿二丁目の高層階から

■17歳の高校2年生

 

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今はもう新宿二丁目というと一種の観光名所化されているようだけれど、19年前の真夜中の新宿二丁目はやっぱり簡単には入れない雰囲気があったと友人は言う。

 

天香ビルだっけ・・・?

 

当時、メイン通りの交差点の中心に建つこのビルはいわゆるアウトローの集合体で、売り専と呼ばれる18~24歳くらいの男性たちを目的に男女問わずに集まる巣窟。

 

第二の眠らない街・・・私のイメージだと歌舞伎町よりも遅い時間に賑わう印象がある街だった。

 

そんな新宿二丁目の街を17歳の私はこの中心に建つ高層階から地上を見下ろしていた。 

 

 

「君はこの街とそこを住処とする住人達をどう思う??」

→自分に売り手にも買い手にも興味はないです。

→ただ売り手も買い手もそれぞれに想いがあるんですね。

 

 

「ならば私のようにこうやって上から見下ろしてみるのはどうか?」

→地元から見る夜景の方が好きですね。

→歌舞伎町の方が私は好きかなぁ。

 

 

「●●●●●●??」

→このくらいの距離感が自分にはちょうどいいです。

 

 

 

客観的に見て、自分が最も危険な場所にいたのはこの時だったのかもしれない。自分が歌舞伎町と近い距離になるのはこれから数年後になるのだが、歌舞伎町よりも新宿二丁目の要人と先に出会っているのがある意味、私らしい。

 

後に知ることになるのだが、この要人の隣にいること自体がある意味この街における一つのステータス。欲望と自己顕示欲と支配欲に群がるこの街で、全ての要素を持たない私だったからこそ、きっと見る事の出来た景色で、何も手に入れることもなく、失うこともなく終電には最寄り駅にいたのだろう。

 

 

振り返ってみると、自分が高層階からこの街を見下ろしていたこと自体が本当にわからない。でも表の歌舞伎町ではなく、裏の新宿二丁目には二丁目の役割と特質があることを理解出来たのは、大きな経験だったと思う。

 

ヒルズ族やタワマンの世界とは違う光景だったのだろうな。